群馬県 建築塗装職種

技術は、覚えようという意欲が全て。
その気持ちに国籍は関係ありません。

専門用語は、雑誌を利用

「言葉はね、やはり不安でした。最初は数少ない挨拶の言葉くらいで、日常の会話やコミュニケーションは取れなかった感じですね。ところが、本人の努力で、みるみる上達していって。私たちも、建築の専門用語などを写真つきの雑誌や本等を使って『この道具は○○』と中国語や日本語で書いたりして、分かってもらうようにしましたね」
太陽の陽射しがゆったりと差し込むT社。ゆっくり、言葉を選びながら丁寧に答えてくれるT社長は、とても穏やかな雰囲気の方。取材も心地よいムードで進みます。
「今では、本人の努力で徐々に成長していますよ。個人差はありますけれど」 努力の個人差。これこそ、実習生にとって強く意識しなくてはいけない、大きなポイントのようです。

個人の向上心が鍵ですよね。これは日本人も変わらないと思うんです

一人はとても活発で、日本の行事や文化を積極的に勉強しようとしています。なんでも吸収しようという気持ちが強く、日本語の上達も早いし、努力が本当に凄い。暇を見つけては本を広げて勉強しています。見ていても嬉しいですよね。ただ、その子と比べて、意欲が明らかに足りない実習生もいて『なぜ自分から分かろうとしないのかな』と……。
もったいないですよね。社員も、どうしてもやる気がある子に仕事を教えたくなりますし、どんどん差がついていきます。その子の成長ぶりに引っ張られ、他の実習生も才能を伸ばし合う関係になることを期待したいです。

セミを食べるのが流行?

T社長に、習慣の差を感じた驚きのエピソードをお聞きすると、
「仕事で山の方に行った時にね、セミを取ってポケットに入れるんですよ。何をするのかと思ったら『家に帰って唐揚げにして食べる』というんです!びっくりしました(笑)」
ひえっ!思わず全員の視線が、取材に同行していたT社担当の中国人スタッフに集まります。
「僕もダメです。10年前、中国でタンパク質が取れるから、と流行りだしました。普通の唐揚げっぽい味みたいですよ。僕は形を見るだけで無理です……」
苦笑いで答える趙。いやー、奥が深いですね、中国の食文化!なんでも、面接で中国に訪れた際、お料理でも虫類はけっこう出るのだとか。
「バイキング方式ですから僕は取りませんでした(笑)。去年の暮れに行った青島の面接では、この経験を踏まえて行ったので、いい人選ができましたね。実技テストはやってよかったです。言葉でいくら『できる』といっても、言葉と実践では差は歴然でした」
ニッコリと笑うT社長。取材の準備に書いたというメモを頂きましたが、丁寧に経緯が書かれ、分かりやすい!その誠実なお人柄が滲み出ていました。